こんにちは、鍼灸やまと治療院です。
今回は、肺経の経穴「尺沢」について記載します。
経穴の説明
「尺沢」は「しゃくたく」と読み、手の太陰肺経の5番目の経穴です。
WHOのコードは「LU5」です。旧字体や繁体字では「尺澤」、簡体字では「尺泽」と書きます。
この経穴は、肺経の合水穴です。
別名に、「鬼堂」「鬼受」があります。
肩の痛み、胸部の痛み、肘の痛み、のどの痛み、咳、などに使用します。
経穴の場所
正式な部位は以下の通りとなります。
肘前部、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱外方の陥凹部。
引用:WHO西太平洋地域事務局著,第二次日本経穴委員会訳『WHO/WPRO標準経穴部位-日本語公式版-』医道の日本社,2009年,p.28
古典における記載例
古典では以下のように記されています。
鍼灸甲乙経
【原文】
尺澤者水也 在肘中約上動脉 手太陰脉之所入也 爲合 刺入三分 灸三壯【書き下し文】
尺沢は水なり。肘中の約の上、脉動ずるところに在り。
手太陰の脉の入る所なり。合となす。
刺入三分。灸三壮。引用:皇甫謐著『黄帝三部針灸甲乙経』259年頃
医心方
【原文】
尺沢 二穴
在肘中約上動脈。
有本云、在肘屈大横文中。
刺入三分、留三呼。灸三壮。
主:心痛、肘痛、喉痺、欬逆上気、舌乾、脇痛、肩背寒、少気、腹脹、手不伸。【書き下し文】
尺沢 二穴
肘中の約上、脈動ずるところに在り。
有る本に云う、肘を屈げ大横文の中に在り。
刺入三分、留むること三呼。灸三壮。
主:心痛、肘痛、喉痺、欬逆上気、舌乾、脇痛、肩背寒、少気、腹脹、手不伸。引用:丹波康頼著『医心方』984年
十四経発揮
【原文】
尺澤在肘中約文上動脈中【書き下し文】
尺澤、肘中約文の上、動脈の中に在り。引用:滑寿著『十四経発揮』1341年
鍼灸重宝記
尺沢
二穴。肘の中屈伸する横文の中、中指と無名指との間の通り、推せば筋骨の解め動脉の処。針灸ともに肘の中の青筋に中らぬようにすべし、針三分留ること三呼。
肩背いたみ、中風、小便数く嚏て楽ず、寒熱、風痺、臑肘攣つり、こうひ、上気、嘔吐、口舌かわき、欬嗽、おこり、手足はり、にわかに腫れ、心痛、心煩、労熱、上気、腰背強ばり痛み、肺の積、小児慢きょうふうを治す。引用:本郷正豊著『鍼灸重宝記』1718年
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