魚際 ~現役鍼灸師によるツボの解説~

こんにちは、鍼灸やまと治療院です。
今回も「手にあるツボシリーズ」として、「魚際」という経穴けいけつについて記述します。

経穴の説明

「魚際」は「ぎょさい」と読みます。
魚際は手の太陰肺経の10番目の経穴となります。手の太陰肺経の五行穴滎火穴えいかけつになります。WHOのコードは”LU10″です。簡体字では「鱼际」と書きます。
魚際には太泉と鬼心という別名があります。
この経穴は、頭痛、眩暈、心悸亢進、霍乱、腹痛などに使われます。

経穴の場所

魚際

上記の図のように母指球の真ん中あたりの際(きわ)で第1中手骨の中央あたりの高さの場所になります。母指球を昔は「魚」と言っていたらしいです。そこの際だから魚際らしいです。

なお、正式な部位は以下の通りとなります。

手掌、第1中手骨中点の橈側、赤白肉際。

引用:WHO西太平洋地域事務局著,第二次日本経穴委員会訳『WHO/WPRO標準経穴部位-日本語公式版-』医道の日本社,2009年,p.30

古典における記載例

また、古典では以下のように記されています。

十四経発揮

【原文】在大指本節後内側散脈中

【書き下し文】大指本節の後、内側の散脈中に在り。

引用:滑寿著『十四経発揮』1341年
鍼灸重宝記

魚際
二穴。手大指本節の後へ内側、うでの横文の中、寸口の脉の上際なり。針一分留ること三呼、禁灸。
酒病、悪寒、虚熱、舌胎黄、づつう、欬嗽、胸腹いたみ、目眩、不食、肘攣り、咽乾、尻いたみ、溺血、嘔血、心痛、乳癰を治す。

引用:本郷正豊著『鍼灸重宝記』1718年
医心方

魚際 二穴
在手大指本節後内側散脈。
刺入二分、留三呼、灸三壮。
主:虚熱、悪風、舌上黄、身熱、頭痛、陰湿、肘攣、心痛、陰痿、肩背寒

引用:丹波康頼著『医心方』984年
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