東洋医学全般でベースとなっている陰陽五行説について簡単に説明いたします。
「古くさい」とか、「胡散臭い」と思われるかもしれませんが、東洋医学が成立した時代の思考ベースとなるものなので、有る程度知っておく必要が有ります。
ここでは極々簡単に説明します。(私も東洋医学に関係する範囲での理解ですので、詳細には書けませんが・・・。)
陰陽論
陰陽論は全ての者を陰と陽に分けて考えようと言う考え方です。
例えば、「太陽は陽・月は陰、昼は陽・夜は陰、火は陽・水は陰」という様に分けていきます。
陰と陽の性質を以下の表に記します。
陽 | 温める | 動かす | 柔軟 | 乾燥 | 開く | 出る | 昇る |
---|---|---|---|---|---|---|---|
陰 | 冷やす | 鎮める | 堅固 | 湿潤 | 閉じる | 入る | 降る |
また、陰陽の特徴として次のような特徴があります。
(1)陰と陽は互いにバランスをとっている
(2)一方が強くなれば他方は弱くなる
(3)陰が極限に達すると陽に変化していき、同様に陽が極限に達すると陰に変化していく
これらの性質を元に、自然界を陰陽に分類してみると以下の様になります。
陽 | 春夏 | 南 | 明 | 熱 | 火 | 太陽 | 昼 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
陰 | 秋冬 | 北 | 暗 | 寒 | 水 | 月 | 夜 |
なお、陰陽は絶対的なものでは無く、二つのものを比べたときにどちらが陰か、どちらが陽かを判断する相対的なものです。
例えば、季節では春夏が陽で秋冬が陰ですが、春と夏を比べれば、春が陰で夏が陽となります。同様に秋と冬を比べると秋が陽で冬が陰となります。このように陰陽は相対的なものなのです。
そして、人体も陰陽が存在し、そのバランスが取れている状態が健康な状態とされています。以下に人体の陰陽分類を示します。
陽 | 上半身 | 四肢 | 背 | 腑 | 氣 | 三陽経脈 | 皮毛・血脈 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
陰 | 下半身 | 体幹 | 腹 | 臓 | 血 | 三陰経脈 | 肌肉・筋骨 |
五行説
五行説は、全てのものを、木・火・土・金・水という5種類で分類する考え方です。
そして、この五行において、相生・相剋という2つの関係があるとしました。(下図参照)
相生関係とは、相手を生み出す母子関係ということです。木から火が生じ、火は木を燃やして土ができ、土は金をうみだす(金属の鉱石は土の中にある)。金は水をうみだす(金属に水が結露する)。水が木を育てる。といった形で循環していると考えました。図の外周の矢印が相生関係を表しています。
相剋関係とは、相手を抑制するという考えです。木は土を弱らせる(養分を吸い取る)。土は水を堰き止める。水は火を消す。火は金を溶かす。金(金属の斧)は木を切り倒す。といった形で廻っています。図の内側の矢印が相剋関係を表しています。
五行や相生・相剋関係は、現代の私たちにとっては、おかしな理屈に感じるかもしれませんが、古代の人々はこのように考え、この理論に比較的合うような形で物事を分類していったのです。
このような五行説が常識であった時代に東洋医学が発展しました。そのため、身体に関するものも五行に基づいて分類されていきました。以下に分類例を示します。
木 | 火 | 土 | 金 | 水 | |
---|---|---|---|---|---|
五臓 | 肝 | 心 | 脾 | 肺 | 腎 |
五腑 | 胆 | 小腸 | 胃 | 大腸 | 膀胱 |
五精 | 魂 | 神 | 意智 | 魄 | 精志 |
五主 | 筋膜 | 血脈 | 肌肉 | 皮毛 | 骨髄 |
五官 | 目 | 舌 | 口 | 鼻 | 耳 |
五志 | 怒 | 喜 | 思 | 憂 | 恐 |
五華 | 爪 | 面色 | 唇 | 毛 | 髪 |
五味 | 酸 | 苦 | 甘 | 辛 | 鹹 |
五臭 | 臊 | 焦 | 香 | 腥 | 腐 |
五声 | 呼 | 笑 | 歌 | 哭 | 呻 |
五季 | 春 | 夏 | 土用 | 秋 | 冬 |
五方 | 東 | 南 | 中央 | 西 | 北 |
五色 | 青 | 赤 | 黄 | 白 | 黒 |
五悪 | 風 | 熱 | 湿 | 寒 | 燥 |