『鍼灸重宝記』本郷正豊著(8)

周身骨度寸尺の定

両の眉の真中より背の大推までの長さを莛にて量て一尺八寸とし、十八に折りて一折を一寸とし此一寸を頭の竪の寸とす。
〇髪際より頤まで長さ一尺。
〇耳の上尖のとおりを引きまわして頭のまろみ二尺六寸とし、二十六に折って一折を一寸とし、これを頭の横の寸とす。
〇喉の高骨結喉より鈌盆(※天突)まで四寸、けつぼん(※天突)より𩩲骬まで九寸、けつうより天枢(※神闕)まで八寸、天枢(※神闕)より横骨(※曲骨)まで六寸半とす、両乳の間ひろさ九寸半、胸の囲り四尺五寸、腰のまわり四尺二寸とす、脇下より季脇まで長さ一尺二寸。
〇脊骨すべて二十四節なり、大推より長強まで長さ三尺。
〇肩より肘まで一尺七寸、肘より腕眩うでくびまで一尺二寸、手くびより中指の本節まで四寸、中ゆびのもとぶしより指の頭まで四寸半とす。
〇腰の前横骨より股の内輔の上廉まで一尺八寸とす、内かまちの上廉より下廉まで三寸半、内かまちの下廉より内踝まで一尺三寸とす、膝より内踝まで一尺六寸、内くるぶしより地まで三寸とす、足の掌の長さ一尺二寸足のひろさ四寸とす。

周身尺寸之図

十四経起止の図

十四経起止の図(腹)
十四経起止の図(背)

十四経脉 是動所生病

手太陰の脉は中焦(臍の上四寸也)に起り、下りて大腸を絡ひ、還て胃口を循り、膈に上て肺に属す。肺の系より横に腋下に出て、下りて臑内に循り、少陰心主の前に行て、臂の内上、骨の下廉を循て、寸口(手の脉処)魚際に上り、魚際より大指の端に出。
その支は、腕後より直に次指の内廉に達し、其端に出て、手陽明の経に交る。此経、気多く、血少し。
是動ずるときは、肺脹満し、喘欬し、缺盆いたみ、両手を交てすくむ。
生ずる所の病は咳嗽、上気、喘喝、煩心、胸みち、臑臂の内いたみ、肩背いたむ。実は風寒、汗出、中風す。虚は少気、溺色変じ遺失す。

手陽明の脉は、大指の次指の端に起り、指の上廉を循りて合谷の両骨の間に出て、上て両筋の中に入り、臂の上廉を循て、肘の外廉に入り、臑外の前廉を循て、肩に上り、髃骨の前廉に出て、上柱骨の会上に出て、下て缺盆に入り、肺を絡いて、膈に下り、大腸に属す。
其支は缺盆より頚に上り、頬を貫き、下歯縫の中に入り、還て口を挟み、左右に交ゆ、上りて鼻孔を挟む。此経、気血倶に多し。
是動ずるときは、歯いたみ、経腫る。
生ずる所の病は、目黄み、口乾きて、鼻衂、喉痺、肩前臑いたみ、次指いたむ。実するときは、熱腫し、虚するときは、寒慄して復せず。

足陽明の脉は、鼻の交頞中に起り、下て鼻の外を循りて、上歯の中に入り、還り出て口を挟み唇を環り、下て承漿に交る。却つて、頤後下廉を循り、大迎に出て、頬車を循り、耳前に上り、客主人をすぎ、髪際をめぐり、額顱に至る。
其支の別は、大迎の前より人迎に下り、喉嚨を循り、缺盆に入り、膈に下り、胃に属し、脾を絡ふ。
其直行は缺盆より乳の内廉に下り、下て臍を挟みて気衝の中に入る。一の支は胃の下口に起りて、腹中を循り、下て気衝の中に至て合ひ、髀関に下て、膝に入り、下ての外廉を循り、足跗に下り、中指の外間に入る。一支は膝を下て三里に注ぎ、わかれて中指の外間に入る。一支は別れて跗上より大指の間に入てその端に出る。此経、気多く、血も多し。
動ずるときは、悪寒し、欠伸し、顔黒く、人と火とをにくみ、木の音を聞けばおどろき、高きに上りて歌ひ、衣を棄てて走る。
生ずる所の病は、狂瘧、湿淫、汗出、はなち、口ゆがみ、唇裂け、くびはれ、こうひ、水腫、むねはり、股、膝、、足跗、中指みないたむ、実するときは、身の前熱し、善く飢、溺黄なり。虚するときは、身の前寒慄し、脹満す。

足太陰脾の脉は、大指の端に起り、指の内側、白肉の際をめぐり、覈骨の後をすぎ、内踝の前廉に上る、内に上り、䯒骨の後をめぐり、厥陰の前に交り、出て上りて、ひざ股の内廉をめぐり、腹に入り、脾に属し、胃をまとひ、膈に上り、咽を挟み、舌の本を連ねて、舌の下に散ず。
其支は、胃よりわかれて、膈に上り、心中に注ぐ。此経、気多く、血少し。
是動ずるときは、舌本こわり、嘔吐し、胃脘いたみ、腹はり、善くし、後と気とを得るときは快し、身體みなおもし。
生ずる所の病は、舌の本いたみ、體動揺することあたはず、不食、煩心、心下いたみ、寒瘧、溏瘕洩、水下、黄疽、夜不寐、強、立てば、股膝の内、腫れ足の大指なゆる。

手少陰の脉は、心中に起り、心系に属し、膈を下りて、小腸を絡ふ。
其支は心系より、上て咽を挟み、目に系る、其直なるものは心系より却て肺に上り、腋の下に出、下て臑内後廉をめぐり太陰心主の後に行き、肘の内廉に下り、臂の内後廉をめぐり、掌の後兊骨の端に抵り、掌の内廉に入り、小指の内をめぐり、其端にいづる。此経、気血ともに多し。
是動ずるときは口渇、嗌かはき、心痛す。
生ずる所の病は、目黄み、脇いたみ、臑臂の内の後廉いたみ、厥すれば掌の中熱していたむ。

手太陽の脉は、小指の端に起り、手の外側をめぐり、腕に上り、踝の中に出て、直に上て臂骨の下廉をめぐり、肘の内側、両骨の間に出で、上て臑外の後かどを循り、肩解に出て肩胛を繞り、肩の上に交り、缺盆に入り、心をまとひ、咽をめぐり、膈に下り、胃に抵って小腸に属す。其支は缺盆より別れて頚をめぐり、頬を上り、目の鋭眥に至り、却て耳の中に入る。
その支は、頬を別れて、䪼に上り、鼻に抵り、目の内眥に至る。此経、血多く、気すくなし。
是動ずるときは、嗌いたみ、頷はれ回顧べからず、肩抜がごとく、臑折に似たり。
生ずる所の病は、耳聾、目黄み、頬腫、頚、頷、肩臑、肘臂の外後廉いたむ。

足太陽膀胱の脉は、目の内眥に起りて、額に上り、上に交る。
其支はより、耳の上角に至る、その直行のものはより入り脳を絡ひ、還て出てわかれて項に下る、肩膊の内を循り、脊を挟み腰中に抵り、入て膂をめぐり、腎をまとひ膀胱に属す。
一の支は、腰中より下て臀を貫き、中に入る。
一支は、膊内の左右より別れ下て、胛をつらぬき、脊の内を挟み髀枢を過ぐ、髀外の後かどをめぐり下て中に合ひ、下ての内をつらぬく、外踝の後に出で、京骨をめぐり、小指の外側の端にいたる。此経、血多く、気少し。
是動ずるときは、頭痛、目脱に似て、項抜くがごとく、腰折るに似たり、腿こはりいたみ、脊の中央にとをり、咽むすぼふるが如く、裂くがごとし、是筋をつかさどる。
生ずる所の病は、痔瘧、狂癲、かしら顖頂痛み、目黄み、涙出、はなぢ、項、せな、腰、尻、、脚みないたむ、小指もちひられず。

足少陰腎の脉は、小指の下に起り、斜に足心に趣く、然谷の下に出で、内踝の後へをめぐり、別れて中に入る。内に上り、内廉に出て、股の内、後廉に上り、脊をつらぬき、腎に属し、膀胱を絡ふ。
其直なるものは、腎より上て、肝膈をつらぬき、肺中に入り、喉嚨をめぐり、舌の本を挟む。其支は肺より出て、心を絡ひ胸中に注ぐ。此経、気多く、血少なし。
是動ずるときは、飢えても食を欲せず、面黒く、喘欬、唾血、坐して起と欲し、目䀮々として所見なきがごとし、心懸が如く、飢るがごとし。気不足し、善く恐れ、心惕々として人の捕えんとするがごとし。
生ずる所の病は、口熱し舌乾き、咽腫、上気し、嗌乾きいたみ、煩心、心痛、黄疽、腸癖、脊、しり、股内の後廉いたみ、痿厥して臥すことを耆み、足の下熱していたむ。

手厥陰心包絡の脉は、胸中に起て、出て心包に属し、膈を下て三焦をまとふ。支は胸をめぐりて脇に出て、腋に下ること三寸、上、腋の下に抵り、下臑の内を循り、太陰少陰の間に行き、肘の中に入り、臂に下り、両筋の間に行き、掌中に入り中指をめぐり其端に出る。
支のわかれは、掌の中より小指の次の指をめぐりて其端に出る。此経、気少く血多し。
是動ずるときは、手心熱し、臂肘攣急し、液腫る。甚則ときは、胸脇支満、心中膽々として大きに動く、面赤く目黄に笑て休まず。
生ずる所の病は、煩心、心痛し、掌中熱す。

手少陽三焦の脉は、小指の次指の端に起て、上て次指の間に出でて、手表腕をめぐり、臂の外、両骨の間に出で、上て肘をつらぬき、臑の外をめぐり、肩に上て、足の少陽の後に交わり出て缺盆に入り、膻中にまじる。散じて心包をまとひ膈に下て、偏に三焦に属す。
其支は膻中より上て缺盆に出でて項に上りて耳の後を挟み、直に上て耳の上角に出でて、屈で頬に下り䪼に至る。
その支は耳の後より耳の中に入り、却て出で目の鋭眥に至る。此経、気多く血すくなし。
是動ずるときは、耳聾、のどはれ、喉痺、是気を主る。
生ずる所の病は、汗出、目鋭眥いたみ、頬いたむ、耳の後、肩、臑、肘、臂の外、みな痛み、小指の次の指もちひられず。

足少陽胆の脉は、目の鋭眥に起り、上て頭角に抵り、耳後に下り、頚を循り、手の少陽の前を行き、肩上に至り、却て少陽の後に交り、出て缺盆に入る。
其支は耳の後より耳中に入り、耳の前に出で走り、目のまじりの後に至る。
一の支は目のまじりより別れて大迎に下り、手の少陽に合し、䪼に抵り、下て頬車に加り、頚を下り、缺盆に合し、胸中に下り、膈をつらぬき、肝をまとひ膽に属し、脇の裏をめぐり、気衝に出て、毛際を繞り、横に髀厭の中に入る。
其直なるものは、缺盆より腋に下り、胸をめぐり、季脇を過ぎ、下て髀陽をめぐり、膝の外廉に出て、外の輔骨の前に下り、直に下て絶骨の端に抵り、下て外踝の前にいで、足の跗上を循り、小指の次指の間に入る。
一の支はわかれて、跗上より大指の間に入り、大指の岐骨の内をめぐり、その端に出づ。還りて貫きて爪甲に入り、三毛に出る。此経、気多く血すくなし。
是動ずるときは、口苦く、善く太息し、心脇いたみ転側しがたく、甚しきときは、面塵き、體澤ひなく、足の外熱す、これ骨をつかさどる。
生ずる所の病は、頭の角、頷いたみ、目の鋭眥痛み、缺盆の中腫れ痛み、腋の下はれ、馬刀挾癭、汗出、振寒痎瘧、むねわき膝髀の外、脛にいたり、絶骨外踝の前、及び諸節みな痛み、小指の次指もちひられず。

足厥陰肝の脉は、大指の聚毛の上におこり、足跗の上廉をめぐり、内踝を去ること一寸、踝に上ること八寸、太陰の後に交り出ての内廉に上り、股をめぐり陰中に入る、陰器を環り、小腹に抵り、胃を挾て肝に属し膽をまとふ、上て膈をつらぬき脇肋に布き、喉嚨の後をめぐり上て、頑顙に入り、目系につらなり、上て額に出て、督脉とに会す。
其支は目系より、頬の裏に下り、唇の内を環る。
一支は復、肝より別れて膈上をつらぬき肺に注ぐ。此経、血多気少し。
是動ずれば、腰痛んで俛仰すべからず、丈夫は頽疝、婦人は小腹はれ、甚しきときは嗌乾き、面塵き、色を脱す、是肝を主る。
生ずる所の病は、胸みち、嘔逆洞洩、孤疝、遺溺、癃閉。

凡そ此十二経の病、実するときは之を瀉し、虚するときは之を補ひ、熱するときは之を疾し、寒するときは之を留め、陥下するときはこれを灸し、実せず虚せざるときは経を以てこれを取る。

督脉は下極の腧(二陰の間)に起る、脊裏に並て、上て風府に至り脳に入る、に上り額をめぐり、鼻柱に至り、陽脉の海に属す。此れ病むときは、脊強ばり、反折る。
其絡は陰器をめぐり、纂間に合し、纂後を繞り、別に臀を繞り、少陰と巨陽に至る。
中絡は少陰に合し、腹内後廉に上り、脊をつらぬき腎に属し、太陽と目の内眥に起り、額に上り上に交り、入て脳をまとひ、還り出て別に項を下て肩髆を循り、脊を挟み腰中に抵る。入って膂を循り腎を絡ふ。その少腹より直に上るものは、臍の中央をつらぬき、上て心をつらぬき、喉に入り、頤に上り唇を環り、上て両目の中に系る。この病は少腹より上て心に衝ていたみ、大小便通ぜず、衝疝となる。癃、痔、遺溺、嗌乾く。
督脉の別名を長強といふ、膂を挟み項に上り、肩胛の左右に当り、別に太陽に走り、入て膂を貫く。実する則は脊強り、虚するときは頭重、これを所別に取る。

任脉は中極の下に起て、毛際に上り、腹の裏をめぐり関元(ほその下三寸)にのぼり、喉嚨に至て、陰脉の海に属す。又曰く、胞中に起て、脊の裏をめぐる、経絡の海たり。其浮て外なるものは、腹をめぐり、上り行きて咽喉に会す、わかれて唇口をまとふ。
血気さかんなるときは肌肉熱す、血獨り盛なるときは毫毛を生ず、其病たること男子は七疝、女子に滞下瘕聚す。

奇経八脉

督脉 任脉 陽蹻脉 陰蹻脉 衝脉 陽維脉 陰維脉 帯脉


底本:『鍼灸重宝記綱目』(京都大学附属図書館所蔵)
図は画像データより抽出し一部加工

この記事へのコメント